先週、議会本会議にて通算20回目の一般質問の機会をいただき、市長、病院事業管理者を始め、行政と議論させていただきました。
- お知らせ
今回の私の質問の主旨と、市長・病院事業管理者のご答弁を、要約、一部抜粋にてお伝えします。
質問に対する行政側との全ての詳細なやり取りは、また後日、録画映像や議事録が公開されますので、そちらもご覧いただけると大変嬉しいです。
今回の質問項目も、私のホームページ上での市民の方々からの市政へのご意見やご要望をお聞かせいただくシステムである、「福山目安箱」に寄せられた、市民の方々からの生の声も参考にさせていただき、質問を構成しました。
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1、放課後児童クラブ
① 運営について
放課後児童クラブに対する利用保護者の要望や期待は、年々多様化する中、本市では昨年から、開設時間の延長を2クラブで先行実施されました。現在は12クラブまで拡大されており、そうした中で、放課後児童クラブの民間委託も施策として進めている状況ですが、これまでの民間委託の状況と今後の計画、また課題についてお聞きしました。
また、今年度から、全ての公立教育・保育施設にスマート保育を導入されましたが、保護者からは、「連絡が容易になった」など好評の声をお聞きしていて、また現場の保育士からも、「事務連絡など業務の負担軽減に繋がった」との声もお聞きしています。
そうした中で、公立の保育施設に導入しているスマート保育を参考にして、放課後児童クラブの運営にもアプリ等を活用していくのはどうか、お聞きしました。
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それに対し市長から、
「現在、民間委託は2教室で実施、今後2年間で40教室を民間委託をしていく計画である。民間委託による大きな課題は現時点でない。
現在、利用児童の出欠は、保護者が連絡帳に記入した情報により把握しているが、急に変更があった場合の連絡手段に改善の余地があり、新年度に向け、アプリの活用を検討していく。」
とご答弁をいただきました。
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それに対し、更なる議論と要望を私から。
今後、再来年度までに、民間委託をするクラブが併せて42教室になるということで、全150教室中、3割弱の教室の運営を民間が行っていく、ということになります。
民間委託をしていく中で、行政ではできていないところ、取り組みとして上手く行っている事例を、市で運営する放課後児童クラブ、または別の民間委託をしている放課後児童クラブへ、ノウハウの共有をしていくことで、市全体として、より質の高い、よりレベルアップした放課後児童クラブ運営になると感じ、要望しました。
現在、急な予定変更時だけでなく、緊急事態が万が一起きたときにも、保護者へは電話連絡のみであり、仕事中だとなかなか電話に出られない場面も保護者は多々あると思います。保護者ニーズを更に満たせるようアプリの早期導入を要望しました。
また、今後も開設時間を延長していくクラブを増やしていく計画で、保護者ニーズを満たすために引き続き体制整備をしていただきたいですが、現在も職員の人材確保が課題であり、そこに加えて、今後、開設時間の延長に伴い、時間延長するのであれば働くことが難しくなるといった声も現場の職員から上がるのではないか?という危惧もしています。
今後の人材確保、それから今働いている職員の離職の防止についての取組の強化を要望しました。
それから、発達障害などの特性ある子どもたちへの支援の強化と、民間委託するクラブの職員を含めた、職員研修の更なる充実・強化を要望しました。
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② 利用児童の来所・帰宅時の安全確保について
現在、3月から10月までは午後5時30分まで、11月から2月までは午後5時まで、保護者の迎えではなく、児童が自力で帰宅することが可能となっています。
児童の帰宅時間は、連絡帳や当日の電話連絡をもとに、クラブの支援員等が管理しており、この帰宅時間の把握に多くの労力を費やしているとの現場の声をお聞きしています。
他自治体では、GPS位置情報を活用した「見守りシステム」を導入するなど、全国的にデジタル技術を活用した安全管理対策が注目され、導入自治体も増加しています。
児童の来所・帰宅時の安全確保対策として、GPS位置情報を活用した「見守りシステム」を導入してはどうか、お聞きしました。
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それに対し市長から、
「GPSの活用は、保護者の安心感に繋がり、緊急時には児童の位置を素早く把握することが可能である。
効果的な見守りシステムの導入に向け、保護者や地域の意見を伺いながら検討していく。」
とご答弁をいただきました。
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それに対し、更なる議論と要望を私から。
このGPSを使った見守りシステムは、近年、子どもたちが巻き込まれる犯罪も増加している中で、放課後児童クラブの利用児童だけでなく、全ての登下校中の子どもたちへの見守りシステムにもなります。
更に、他の自治体での活用例を見ると、認知症徘徊の対策として活用している例もあります。
また、要介護者・要支援者へもこのGPSシステムを活用している自治体もあります。
これは、災害時に、要介護者・要支援者がこのシステムの利用者だった場合、デジタルで避難の状況が把握でき、防災・減災の観点から、二次災害を防げるからです。
全国的にも事例としてあるのは、要介護者や要支援者が無事に避難しているのかが把握できず、被災地で、消防士や福祉関係者や民生委員の方が、要介護者や要支援者が避難できているか分からないので、再度探索にいって、そこで被災してしまうという二次災害が起きている事例があります。
こういった二次災害は、GPSによるシステム構築をしていた場合、防ぐことができるようになります。
またコストに関しては、他の自治体での導入事例を見ると様々なパターンがあり、企業のスポンサーを募って運営費の一部に充てているとか、『企業版ふるさと納税』を活用しているとか、『デジタル田園都市国家構想推進交付金』を活用しているとか、色々とスキームがあり、大きな公費を投じなくても市民のための安心安全な取組を実現している事例があります。
ですので、保育施設担当課だけでなく、教育委員会、高齢者支援課、危機管理防災課、経済部や企画財政局など、それぞれの部署の強みを活かして、部局横断的に取り組んでいただくことを要望しました。
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2、福山市民病院
① 収支の見通しについて
福山市民病院では、圏域内で地域完結型の医療提供体制を確保するため、現行機能である、がん医療・救急医療・高度専門医療の強化や周産期医療の充実とともに、既存棟の改修を含めた本館の建て替え工事に着手されています。
現在、地下の掘削工事等を終え、建物の基礎工事を進めていて、計画に沿った進捗状況ですが、国内の状況を見ますと、未だ物価高騰に歯止めがかからない中で、人件費の上昇なども含め、今後も厳しい状況が続くものと予測されます。
そうした中で改めて、市民病院の増改築事業を踏まえた今後の中長期的な収支の見通しについて、お聞きしました。
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それに対し病院事業管理者から、
「昨年度決算では、約10億円の純損失を計上した。
今後も、増改築事業に伴う工事費や周産期母子医療センター開設に向けて医療機器を整備していく必要があるため、単年度収支は2038年度まで赤字が続く予測である。」
とご答弁いただきました。
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それに対し、更なる議論と要望を私から。
現状、資金残高が約140億円で、昨年度の収支差額がマイナス10億円でした。
今後も、増改築事業において建築費が高騰していますし、人件費や光熱費、物品購入費など、高騰に歯止めがかからない状況が続いています。単純に、昨年度と同額程度の資金の流出が続けば、資金残高が約140億円ですので、14年で残高が底をついてしまう状況です。
市民病院は、自由診療枠はほぼなく、診療収入のほぼ全てが厚労省が定めた保険診療のみで、当然、利用者の消費税は非課税です。しかし一方で、当然のことながら、業者へ支払う消費税は、物価が上がれば上がるほど経費におけるその負担額は増えていきます。単純に建築費が10億円増えれば、消費税負担額は1億円増えます。それでも、経費が上がったから、収支がマイナスだからといって、民間企業のように価格転嫁はできません。
しかしながら試算では、黒字化は2039年度以降ということなので、15年後からようやく黒字になるということで、収支の適正化への取り組みは待ったなしという状況です。
ただ、市民の生命を守るという非常に大切な、公的病院としての役割を担っていますので、採算の取れない取り組みももちろんあることは十分理解はしていますが、とはいえ収支が悪くなっていくと、一般会計からの基準外の繰り入れをしないといけない状況にもなりかねず、そこは何とか経営改善に向け取り組みを進めてほしいところです。
その上で、今後の収益向上に向けての取組と、経費削減に向けた取組のそれぞれの強化を要望しました。
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② 周産期母子医療センターについて
市民病院が示しているスケジュールによると、令和8年8月に周産期母子医療センターを開設し、将来的には、総合周産期母子医療センターを目指していくとのことです。
新本館Ⅰ期工事の完了により、周産期母子医療センターに関して、ハード面は整備されますが、医師・看護師等の人材がいないと運用はできません。
また、ハイリスクな分娩等に対応できるようになるためには、人材の育成が非常に重要だと考えます。それらも含めて、今年度と来年度はプレ稼働期と位置づけて、センター開設に向けて様々な準備をしているものと思われます。
センター開設に向けた、現在の取組状況、また、医師や看護師・助産師の確保の見込み、人材育成の取組の状況をお聞きしました。
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それに対し病院事業管理者から、
「今年4月から産婦人科病床を10床から20床へ増床するとともに、低出生体重児等に対する治療室を3床運用しており、6月からは妊娠34週以降の新生児の受け入れを開始した。
妊娠確認から初期の妊婦健診は、かかりつけの産科医療機関で行い、後期の妊婦健診から分娩は、市民病院で行うという『産科セミオープンシステム』は、順調に運用している。
医師、看護師や助産師の確保の見込みは、医師については、昨年4月に今後の市民病院の産婦人科の中心となる産婦人科医が、今年4月には新生児医療を専門とする小児科医が新たに着任し、診療や体制整備の検討を行っており、大学と連携しながら総合周産期母子医療センターの指定を目指し、段階的に体制を強化していく。
看護師と助産師については、職務経験者の募集や看護師養成校へのリクルート活動などを行いながら、計画的に職員を採用しており、必要な人員の確保に努めていく。
人材育成の取組については、昨年度から周産期母子医療センターを設置する医療機関へ看護師や助産師を派遣し、必要とされる基本的な知識・技術の習得とハイリスク新生児に対する看護実践を学び、的確な判断や高度な技術を身に付けるなど、実践能力の向上を図っているところである。」
とご答弁いただきました。
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それに対し、更なる議論と要望を私から。
福山市内も産科が、昨年度2施設減り、現在6施設です。そういった状況の中で、今後、市民病院の周産期母子医療センターにかかる期待、その役割、意義も大きいと感じます。
今後、地域周産期母子医療センターから総合周産期母子医療センターへと発展を目指していく中で、地域から総合になると24時間体制になります。
現状、医師不足や働き方改革の中で、24時間体制に対応していけるだけの人員の確保に向けて、医師だけではなく、医療専門スタッフの人員確保も併せて、今後更に強化していくことを要望しました。
また、ハイレベルな体制を整えていくためには、人材育成の取り組みも大切だと感じます。更に人材育成の制度を整えていただき、質の高い医療を提供していただきたいと要望しました。
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③ 地域医療連携に関する覚書について
本市は、本年8月22日に笠岡市・井原市との間で、それぞれ「地域医療連携に関する覚書」を締結しました。
また、今回改定した福山市民病院経営強化プランには、特に笠岡市との連携について「笠岡市立市民病院は、病床機能を現在の急性期を中心としたものから、回復期へと機能転換を図り、福山市民病院などの基幹病院からの術後患者の受け入れ体制を強化し、岡山県南西部二次保健医療圏だけでなく、福山府中二次保健医療圏の回復機能の一部を担うよう整備を進めていく」とあります。
笠岡市立市民病院が、福山府中二次保健医療圏の回復機能の一部を担うことによって、福山市民病院にどのような影響があるのか、お聞きしました。
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それに対し病院事業管理者から、
「福山市民病院は、圏域で唯一の三次救急病院として、緊急性・専門性の高い医療や重症外傷等の複数の診療領域にわたる疾病など、高度な専門的医療の提供に努めている。
市民病院の機能を最大限発揮するためには、一定の段階まで回復したものの、在宅への復帰等が困難な患者に対しては、回復期などを担う医療機関等と連携を図り、転院などの逆紹介をしていく取組が不可欠である。
この度、笠岡市立市民病院が急性期中心から回復期への機能転換を進めることを表明されたことは、井笠圏域からも一定の患者を受け入れている市民病院にとっては、回復期の患者の受け入れ先が広がることから、高度急性期患者のより多くの受け入れに繋がるものと考えている。
引き続き、備後圏域の基幹病院として、地域の医療を牽引していく役割を果たしていく。」
とご答弁いただきました。
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それに対し、要望を私から。
笠岡市立市民病院との連携開始に向け、滞りなくスムーズに役割分担が進むように体制整備を要望しました。
最後に、
総じて、市民の命を守る大事な役割・意義を、福山市民病院は担っています。
収支を健全化し、経営を強化し、周産期母子医療センターの開設で役割・機能の強化を図り、笠岡市立市民病院との役割分担をスムーズに行うことで、更に高度で質の高い医療体制に整えていく。
そうしたことで、更に市民にとって安心安全を提供できる、高度な医療機関として発展していただくことを要望して、全ての質問を終わりました。
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以上です。
長文を最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。