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そもそもグローバル教育とは何でしょうか?

2017.07.07 Fri
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長文ご容赦ください。

近年、教育界では「グローバル教育」の推進が声高に叫ばれています。

そもそもグローバル教育とは何でしょうか?

国際感覚を持った人材育成とよく言われていますが、それはどんな人材なのでしょう?

英語力がある人がグローバル人材でしょうか?

皆様はいかが思われますか?

全国的には、公立も私立も英語力を子ども達が身に付けられるような教育プログラムを、積極的に組んでいる学校が多くなりました。

では、英語力を身に付ければグローバル人材になれるのでしょうか?
私はそれに対して少々懐疑的です。

実際、国際人の育成を!と教育界で叫ばれて数十年経過します。

それでも英語を使いこなせている日本人は非常に少ないのが現状です。

なぜでしょうか?

様々な理由がそこにはあると思いますが、私は実は英語教員だったのですが、実際に現場で英語を教えていて一番大きな理由として感じることは、日本は国内の経済が成熟しているためであると考えています。

日本人の子ども達が将来の夢や目標で自分の姿を思い描くとき、ビジネスの相手として想像しているのは、ほとんどの子ども達が日本人を相手として想像をしています。
それだけ、国内の経済が成熟していることの表れだと感じています。

日本人は、日本語が使え、日本人を相手にビジネスができれば、これまでは自分の食い扶持は確保されてきました。
英語を習得する必要性がなかったのです。

しかしながら、海外の国の中で、英語が母国語ではないにも関わらず、国民の多くが英語を使える国は、歴史的な背景プラス、英語を使えないと自分の食い扶持が確保できないという現状があると私は感じます。

そういった国の子ども達は、子どものときから、将来のビジネスの相手として想像しているのは外国人です。

だからこそ、英語を習得する必要性が高く、英語を習得できている子ども達が多いのだと感じます。

では、これからの日本の未来を考えた時、子ども達が学ぶべきものとは何でしょうか?

学校教育、特に公立学校の教育の中で、英語の語学教育に力を注ぐべきなのでしょうか?

現在、例えば福山市の公立小中学校には、1学年で4000名ほどの子ども達がいます。

では一体、この4000名のうち、何人の子ども達が海外でビジネスをしたり、英語を主たるコミュニケーションツールとして国内でビジネスをするでしょうか?

恐らくほんの一握りの子ども達だと私は感じています。

これからの時代の流れを読むとき、どんな社会になるかを想像しながら教育を行っていく必要があります。

なぜなら、これから誰もが経験したことのない激動の時代を子ども達は生き抜いていかないといけないからです。

これから10年先、15年先の未来を想像したとき、特に地方はどうなっているでしょうか?

これからAI(人工知能)が凄まじい勢いで進化します。

恐らく、あと10年以内には世界各国の言語を翻訳してくれる高性能の翻訳機が登場するのではないでしょうか。

10年前まで、国民の多くがスマホを片手に街を闊歩するなんて誰が想像したでしょう。

凄い勢いで環境が変化しています。

英語教員だった私がこんなことを言うのもなんですが、もはや語学力が必要ない時代が来るのではないか?と考えています。

もちろん、英語を話せた方が良いか?良くないか?で言えば、話せるに越したことはありません。

海外で活躍する人材育成を目的としたカリキュラムを組まれている一部の私立学校の教育では、英語力の習得に力を入れるのは当然です。

しかしながら、公立学校の教育の中で、これから子ども達が身に付けるべき力とは何かを考えた時、答えはもっと別のところにあると感じています。

私は大学卒業後、ニュージーランドで仕事をしていた時期があります。

その時に一番感じたことそれは、例え、英語が流暢に話せたとしても、そこに語るべき信念や志がなければ誰も相手にしてくれないということです。

しかし、相手にとって聞くに値する信念や志があれば、たとえ片言の英語だったとしても相手はきちんと言葉を受け止め、向き合ってくれます。

これからの特に公教育の中で目指すことは、まずは、どんな世の中になっても必要になる子ども達の自己肯定感や自尊感情を育むことです。

そして、これから先の日本を考えた時、起こる可能性が高いのが、外国人労働力の受け入れです。

現に、もうすでに介護業界は人手不足が深刻なレベルです。

私の知り合いの介護事業者の方は、すでに、東南アジアでのリクルート活動を行っています。

それだけ人材不足は深刻な状態です。

これから日本は急速な少子高齢社会に突入します。

その中で労働人口の不足は深刻な状態になることが予測されます。

となると、外国の方を労働力として受け入れる企業が多くなるでしょう。

特にこれからは、東南アジアの方々だけに留まらず、近い将来アフリカの方も多く日本に働きに来られるのではないかと感じています。

となると、私たちの子どもや孫は、国内にいても当たり前として、同僚や上司や部下が外国の方、特に東南アジアやアフリカの方になる可能性が非常に高くなります。

その時、今の教育の中で育った子ども達が対応できるのでしょうか?

語学に関しては、私は先ほども言いましたが、高性能の翻訳機が解決してくれると考えています。

しかし、一番肝心な「心」の課題はどうでしょう。

日本人の全てとは言いませんが、欧米の方に対しては、ペコペコと低姿勢にも関わらず、東南アジアの方やアフリカの方には、見下したり、高圧的になったり、差別意識を持ったりしている人が少なからずいると私は感じています。

こういった課題を教育の中で解決してあげることが、これからの教育の中で大切だと私は考えています。

解決してあげなければ、将来、子ども達が仕事をする上で確実に困るからです。

文科省が2020年からの新学習指導要領で小学校からの英語の導入を決定しましたが、そういったことも踏まえて、各自治体では英語教育の在り方自体を考えていく必要があると感じています。

私が思うに具体的には、これから本当に必要な実践は、特に公教育では、英語力の向上よりも、実際に今、日本に来て働いている東南アジアやアフリカの方で日本語が話せる方に特別講師として学校に来ていただいて、子ども達に、
「なぜ日本に働きに来たのか?」

「自国の文化はどんな文化か?」

「国民性や価値観はどんなものなのか?」

といった話を直接してもらい、子どものうちから、将来一緒に働くかもしれない東南アジアやアフリカの方々の文化、国民性、価値観、考え方に対する理解や耐性を育んでいくことが大切だと考えています。

だからこそそれに向けて、私が運営する東林館高校においては、新たな取り組みを実現させました。

福山市にある教文外語専門学校にご協力いただき、在籍する学生の方々に学校にお越しいただき、上で述べたことを盛り込んだ特別授業を展開していきます。

今日はその1回目の授業でした。

本日参加してくださり、プレゼンをしてくださったベトナムからの留学生のお一方は、大変緊張し、手を震わせながら、それでも一生懸命に日本語で想いを語ってくださいました。

その姿、在り方に心から感動しました。

子ども達も真剣に話を聞いていましたので、色んな想いを抱いたと思いますし、これからの大きな学びになったと感じました。

これから回数をどんどんと重ねていき、実績を積み重ね、1つのノウハウとして確立し、それを福山市への貢献として、特に市の教育委員会へ情報提供し、市で活用していただくのが目標です。

問題提起や政策提言だけでなく、実践を伴った具体的ノウハウとして公教育へ還元し、子ども達への貢献になれば嬉しい限りです。

ノウハウ提供できるまで、これからも引き続き回を重ねてまいります。

その後夜は、東広島市で開催された「広島こどもの心研究会」に、講師としてお招きいただき講演をさせていただきました。

子ども達への支援や教育について、多くの熱い想いや志を持たれている方々にお会いできました。

各地域へネットワークを構築し、広い視点・視野で子ども達を多角的に支援していけるよう、またこれからの時代を見据えて、子ども達が社会の中で他者と協同して生き抜いていけるよう、これからも活動を続けてまいります。

皆様からのご意見・ご感想をお待ち申し上げております。